[無添加の家コラム]住宅の寿命を決める接着剤
住宅の寿命をご存じでしょうか。
日本の住宅と海外の住宅の寿命を国土交通省が試算した結果、アメリカの住宅の平均寿命は55年、イギリスの住宅が77年という数字に比べ、日本の住宅の寿命は30年であることがわかっています。
海外の住宅に対して、はるかに短命な日本の住宅。ローンを払い終える前にもう建て替えなければなりません。
そんな住宅の寿命の原因のひとつに「接着剤」があります。
今回は、その接着剤についてのお話です。
<目次>
・一般的な接着剤
・日本の気候に適した接着剤
・先人の知恵
・食べられるお家の食べられる接着剤
・ロングライフ住宅を目指して
一般的な接着剤
現代建築で使われている接着剤のことをご存じでしょうか。プラスチックをシンナー(有機溶剤)などで溶かしたものが一般的に使われています。
この接着剤を使って木を貼るとシンナーなどが揮発し、元のプラスチックに戻る仕組みになっています。
湿度により膨張収縮を繰り返す木の性質上、当然接着部分は分離しはがれてきます。それと同時に、耐久性の低いプラスチックが劣化し、ドアやキッチンに使われている合板などはボロボロになってしまうのです。
これが日本の住宅寿命が30年といわれる理由のひとつです。
また、ここででてきた有機溶剤はシックハウス症候群の原因といわれています。
(シックハウス症候群についてはこちら「住まいから始まる病~シックハウス症候群とは~」)
ここでいう有機溶剤とは、ベンゼン環を含んだ脂溶性物質のことです。杉の木の香りやレモンやミカンの皮の汁などにも含まれていて、微量であれば心配ないのですが、人体の許容量をオーバーするとシックハウス症候群の原因となるので要注意です。
日本の気候に適した接着剤
コーヨーテックは「誰もが当たり前に安心して住める家」を叶えるために、化学物質をなるべく使わず、無添加素材を使ったお家づくりをしています。
そんな素材のひとつ、「米のり」はドアやキャビネットの扉の接着剤として使っています。
米のりってそんな素材で大丈夫?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これが実は300年もつといわれる接着剤なのです。
先人の知恵
その名の通り、「米」からできている米のり。
米は熱によってα化(高分子)し、固まると木と同じようなもの(植物繊維のセルローズ)に変化します。
同じということは、木と一体化し、木と同様に湿気を吸放出し、同じ張率で膨張する。同じじように動くということ。
米のりで接着して剝がれないのかと聞かれることも多いですが、高分子化された米のりは強度が高く、300年以上もつといわれています。
米のりは、奈良時代の頃から建具や家具に、室町時代頃には仏像に使われてきました。
木と木のパーツを組み合わせてつくる仏像は、木と相性の良い米のりが何百年にわたって維持しているのです。昔の人は米のりが非常に長持ちすることを知っていたのでしょう。
食べられるお家の食べられる接着剤
「食べられるお家」の通り、米のりも人間が食べられるくらい安全な素材です。赤ちゃんが扉をなめてしまっても大丈夫。
お米は虫や菌にも好まれやすいという弱点がありますが、それを補うのが「塩」。塩は天然の防虫剤なのです。
米に塩を混ぜることで、害虫やカビを寄せ付けず、長い年月をかけ美しく経年変化していくことができるのです。
ロングライフ住宅を目指して
漆喰や無垢の木、米のりや膠など、自然の素材をつかった無添加住宅。
お手本にしているのは、シックハウスのなかったころの昔の家づくりです。土や木、草や紙などで構成され、バランスのとれた昔の家。
その考え方を軸に、現代に合うように試行錯誤を重ね、素材を吟味し、自然素材に徹底的にこだわって無添加住宅が完成しました。
ただ重要なのは、“自然素材を使うこと”だけではなく、“身体によくないものは使わない”こと。
見えないところ、肌に触れないところにも安心・安全な素材を使用し、化学建材や化学接着剤を使わず、経年美化する本物の素材でできた長寿命なお家をつくっています。